遭難!? 仲間とはぐれ、海上保安庁118に連絡する直前までいった 遭難!?体験を書きます。実際は何事もなかったので、 そのうち笑い話になりそうですが、いくつか問題な行動が浮き彫りになってきました。 皆さんの安全なダイビングの参考にしてください。 01年2月4日(日) 三保・・・管理されてないダイビングスポット 今回のダイビングは、久々の三保である。突然、三保で、アカタチを見たくなって、 「頼れるダイブマスター」のH野氏と先輩ダイバーのK島氏を誘った。いつもの仲間である。 H野氏とは、3週間前に、いっしょに大瀬崎に潜っている。年末年始も2人で、 7泊8日石垣島に潜りにいってきた。三保も何度かいっしょにショップツアーで潜っていた。 今回の主役、K島氏は、仕事が忙しく、2ヶ月ほど潜っていなかった。三保も初めてであった。 レンタル機材 今回、H野氏も、K島氏も、自分のレギュレータは、 オーバーホール中なのに、私の誘いに負けて、レギュレータをレンタルしてのダイビングとなった。 K島氏は、愛用のエアーX(電波で残圧も表示できるダイビングコンピュータ)での 残圧計が使えなくて、残念そうであった。ただ、残圧が、表示できなくても、 通常のダイビングコンピュータの機能は使えるので、特に問題はないはずであった。 エンリッチド・エア・ナイトロックス(EAN32%) また、大瀬崎とは違って、空気とナイトロックスタンクとの差額が、 小さいため、久々(一年ぶりぐらい?)にナイトロックスで、潜ることにした。 三保は、最大水深25mぐらいなので、写真撮影するには、無限圧限界時間に余裕のある ナイトロックスの方が、都合がいいのである。 ブリーフィング 三保のポイント「真崎」は、浜から水深22mまでは、 かけあがりで砂利である。そこから沖に向かっては、ほぼ平坦で、泥底である。 最大水深は、25m。透明度は、10mぐらい。(ショップの前日の情報) 大きなウミトサカやムチヤギ類が散在しており、エビやカニがついている。 泥底には、ハゼやアカタチがいるので、その辺をねらう。また、このポイントは、 水上を船舶が航行しており、途中浮上は、危険である。 もし、はぐれた場合は、浮上せず、そのまま、エキジットすること。 ナイトロックスなので、時間より、残圧が早いと思うので、残圧80で、 バディーに連絡し、エキジットしましょう。ということになった。 エントリー準備 さあ、一本目である。K島氏の準備が遅い。 レギュレータのOリングのところから、少しエア漏れもしているようだ。 Oリングを裏返しても、止まらない。少し良くなった様ではあるが・・・、 このまま行くことにする。 私は、声をかけた。「コンピュータ32%に、設定しましたよね。」 H野氏から、「したよ!」と返事が返ってきた。 (あとで、考えると、K島氏からの返事はなかった。) K島氏は、タンクを背負うのに、えらく苦労していた。 2ヶ月ぶりのダイビングで、戸惑っているのか、動作にキビキビ感がない。 まあ、いつもノンビリ屋さんではあるのだが・・・。 「バルブ空いてますね?」と声をかけ、H野氏は、「空いてるよ。」と返答。 K島氏は、「少しエア漏れあるから、エントリー直前に、空けるよ。」と返答。 一応、準備完了ということで、エントリーポイントに向かって、約50mを歩き出す。 なお、バディーチェックは、前述の程度で、お互いの機材のチェックまでは、してなかった。 一本目 K島氏のバルブを開けて、さあ、エントリーだ。 透明度は、あまりよくない。5mもない。・・・耳抜きができない。 新しいマウスピース(歯型形成タイプ)の調子が悪く、耳抜きしようとすると、 舌の奥を刺激してしまう。仕方なく、耳抜きするときは、マウスピースを外し、 耳抜きし終わると、マウスピースを咥えなおすという、面倒な状態での潜行となってしまった。 また、K島氏も耳抜きに苦労しているようだ。H野氏は、私たちが潜行できるのを待ちながら、 ハオコゼと遊んでいる。 ・・・なんとか水深23mまで、潜行したものの、透明度は、やはり5m程度。 透明度悪し! 目的の一つアカタチは、見つからない。 ウミトサカやムチヤギなどは、きれいである。 スナイソギンチャクにドフライニアシュリンプを見つけた。撮影に入る。 H野氏、K島氏も撮影に入ったようだ。8カットほど撮影し、残圧が100barを切った。 隣で撮影していたK島氏に確認すると、90barとのこと。 帰還を決意したが、H野氏が、見当たらない。透明度が悪いため、探し回ることは断念し、 ブリーフィングどおり、エキジットすることとする。 また、はぐれたようである。ダイブマスターであるH野氏は、たまに、単独行動することがある。 K島氏と一緒に、5mまで浮上したところで、安全停止3分。 もちろん、無限圧限界時間内であるが、念のための停止である。 K島氏は、久々のダイビングのためか、浮き気味である。 石を拾い、渡すと何とか、停止していられる状態になった。 3分後、再度浮上開始。 エキジット。15m程離れた所に、H野氏もエキジットしてきたところだった。 二本目 二本目、透明度は8mほどになっていた。 エントリー後、すぐに、穴から5cmほど顔を出しているアカタチを発見! 直前3mのところに着底し、H野氏とK島氏にサインを出した。H野氏は、すぐに気づき着底。 K島氏は、気づかずにアカタチの脇を通り過ぎていってしまった。 幸い、アカタチが穴に引っ込むのは避けられたようだ。 着底している私たちに気づいたK島氏は、アカタチの上を通って戻ってこようとしていた。 「待て!そこにアカタチがいる!!!」とサインを送って、何とかわかってもらえた。 アカタチの向こう側に着底した。 しばらく、アカタチが穴から出てこないかと待っていたが、なかなか、出てこない。 ふと右を見ると、別のアカタチが、「出ようかな、止めようかな。」という感じで、 穴から、顔を10cmほど出していた。距離1.5m。とりあえず、数カット撮影。 結局、アカタチは、これ以上、顔を出してくれなかった。諦めて移動を開始した。 透明度、再度悪し! しばらく移動すると、また、透明度が悪くなってきた。 3〜5mというところか。H野氏が、ムチカラマツにイボイソバナガニを発見。 H野氏が撮影してから、自分も撮影開始。10カットほど撮影すると、残圧90bar。 H野氏に帰還のサインをし、K島氏を確認しようとしたが、見当たらない。 H野氏に、確認したが、「さあ?」のサイン。・・・と思ったら、自分のすぐ後ろにK島氏が現れた。 「さあ、帰還だ!」と思った瞬間、H野氏が、帰途とは違う方向に猛ダッシュ。 すごい勢いだ。追いつけない。「多分、K島氏を探しに行ったんだ!」と思い、 しばらく待ったが、帰ってこない。 しかたなく、K島氏と帰途につく。 途中、2度ほど、後のK島氏を確認したが、ちゃんとついて来ている。 かけあがりの手前で再度確認すると、K島氏がいない。 1分待ったが、K島氏は現れない。一人で浮上開始。 今回も、無限圧限界時間には、余裕があったが、5mで1分、3mで1分の安全停止をして エキジット。浜には、K島氏もH野氏もいなかった。 遭難!? とりあえず、フィンとマスクを外し、浜に立って、海をみつめる。 ・・・1分。・・・2分。2人ともあがって来ない。だんだん、不安になってくる。 5分経ち、誰かがエキジットしてきた。H野氏だ。・・・余計に不安になってきた。 H野氏の方が、エアの持ちがいいからだ。いつも、倍ぐらいの残圧がある。 H野氏に、「K島氏は?」と聞いたが、「分からない」とのこと。 H野氏もやばいと感じているようだ。フィンも脱がずに立ち尽くしている。 H野氏に残圧を確認すると、60bar。5分前にあがった自分も60bar。 K島氏のエアの消費量は、自分とほぼ一緒。今ごろ、エアは、30barぐらいではないか。 流されるような潮もなかったし・・・、でもレンタル機材にトラブルでも・・・。 浜の左右100mほどにダイバーがエキジットしてきている様子もない。 不安が増大。もしかして、遭難!?・・・2人で海面を見つめる。 エキジットしてくる様子もなければ、エアのあわ立ちも見えない。 ・・・5分が経った。 「やばいですね。僕らも行動を起こさないと・・・、1分を争いますよね。」 「ああ、この残圧では、探しに行く自信もない。118(海上保安庁)に連絡するか?」 「いや、それより、H野さん、そこのダイバーのグループに助けを求めてください。僕らは冷静な判断ができない。 僕は、ショップに連絡します。」 安堵 2人が、それぞれの行動をし始めたとき、 10mほど離れた海面に一人のダイバーが、エキジットしてきた。 H野氏が、叫んだ。「来た!」・・・自分には、別人に見えた。 BCが、違ってみえた。フードも違ってみえた。 そのダイバーが、マスクを外し、こちらを向くとあの懐かしいK島氏の顔が、見えた。 「良かった!!!」思わず、走り出していた。 「大丈夫か?残圧は?」「ん?大丈夫だよ。残圧もあるよ。」 K島氏は、何が起こったのか分からない様であった。 エキジットが遅れた理由!? K島氏は、3m10分の減圧停止していたとのこと。 なぜ?H野氏も私も無限圧限界時間に余裕があったのに? K島氏のダイビングコンピュータも自分のと同じもののはずなのに・・・。 しばらく話をして、なぞは解けた。 K島氏は、コンピュータの酸素濃度設定を21%から32%に変更をしていなかったようだ。 私が確認したとき、「ああ、設定変更しなきゃ!」と思いはしたが、そのまま、忘れてしまったそうだ。 つまり、コンピュータは、ナイトロックスではなく、空気として演算していたため、 3m10分という長い減圧停止を指示していたのだ。 また、普段つかっているエアーXは、陸に置いていき、いつもはログづけ用で、 サブに使っているコンピュータだけを持っていったとのこと。 K島氏は、安全のため、その指示に従ったとのこと。 そのとき、僕らが、心配して待っていることなど、想像もしていなかったようだ。 反省 帰りに温泉に寄り、そこで反省会を行なった。 バディーチェックは、必ず行なうこと。 指摘があった(今回はダイコンの酸素濃度設定変更)ときは、すぐに対応すること。 必ず、無限圧限界時間を守ること。 やむを得ず、潜水中に、無限圧限界時間を超えてしまったときは、 バディーに必ず報告し、いっしょに減圧停止をすること。 ・・・最近、馴れ合いからか、安全に対し、いいかげんになっているので、 お互い注意しあうということで、反省会を終了し、名古屋への帰途についた。 終わり |